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日常

【書店】 クグツ師の円舞曲8「始動」 

こういう風に他のブログを転載するブログにする予定です。
まだまだ更新率を挙げれませんが、ちょっと基盤整え切りたいですねぇ(・ω・)

お料理ブログとか、工作ブログとかも同時に経営したいですが、オレの時間が24時間しかないのが敗因です。

▼以下記事本文▼

http://blogs.yahoo.co.jp/mumumu_cromwell/44526010.html


朝日と共に起きるということは、日の出には起きていなくてはいけなくて、街で暮らしていたら日の出よりもはるか遅くに街に日光が指すため、朝日と共には起きることはできないのではないだろうか。
シュラは、そう考えながら、その定義に基づいたうえで、朝日と共に起きた。
「エルはまだ寝てるのか・・・うわ」シュラは眠気眼で、鉄製の鞄で境界線を引いた先にいるエルの姿を見てしまった。
寝相はひどく、服が乱れていて、まだ見てはいけないほどはしたなくはないが、見ていたら怒られそうな格好だった。
シュラは、それを見なかったこととして、テントから脱出し川の水をすくって飲んだ。
闇夜に冷やされた水はシュラののどを潤し、眠気を纏った脳内はさっぱりと目を覚ました。岩場に腰掛け、灰塵となった焚火の後をぼーっとながめ、エルが起きてくるのを待った。

シュラは思い出そうとしていた。
記憶がないというのは、ただ無いというわけではなく、有るはずなの失われているということだ。シュラは居心地が悪かった。
エルに拾われるまでの記憶は喪失しており、なぜ自分が川に流されてる羽目になったのかも皆目見当もつかない。自分が何者か、という記憶さえ思い出せない。
誰から生まれたのか、兄弟はいるのか、どこに住んでいたのか、よく何をしていたか。
自分が自分であるためには、ある程度の情報と環境が必要なのだと悟った。
自分はシュラという名前が与えられただけでは、存在していることにならない。
エルに拾ってもらったことで、人間として機能しているが、また一からやり直しだ。

「まぁ、やり直しでも構わないか」シュラがそう口に出した時、テントの中でエルがごそごそと動き始めた。今は"エルに拾ってもらった、世間知らずの少年"として、今をまっとうするしかないのだ。
「おはよう、今日は早いな」テントから出てきたエルがそう声をかけた。
「川に流されたりしてなきゃ、さして疲れないからな」シュラがそういった。
「私より早く起きるやつがいたのは、これで二人目だ。早起きに関しては見所があるな、シュラ」褒められているが、あまり嬉しくない言い回しだ。
「とりあえず、朝飯食ってから、クグツを動かすから、そのつもりでいてね」エルがそういって、自分のクグツを起動させた。

朝飯は、やはりエルのクグツが動き回り、魚を取っていた。
人間と同等どころか、それ以上のパフォーマンスを見せるクグツにあっけにとられていると魚が焼け、エルに促されるままに食べた。昨日山まで運んできた大きめのトランクには、シュラのクグツが入っている。

一通り朝食を終えた二人は、日が昇り暖かくなるのを感じていた。
エルは魚を焼くために焚いていた火を消し、消し炭を足でつぶし、大きく伸びをした。
「さぁ、じゃあレッスンを始めるか」
エルが気合を入れろと言わんばかりの張りきった声でそういった。
「ここは、この山の中でもだいぶ僻地だ。少し派手にやっても、私が見つかってピンチ、とはならないだろう。」
エルが手を動かして自分のクグツを手繰り寄せ、自分の横に携行させた。

「まず、イトを付けるところから始めよう。慣れれば一瞬でできるが最初は装着感が嫌だろう」
シュラが運んでいた、No.9が入っていたトランクを開け、エメラルドグリーンのイトを取り出す。
シュラはエルに言われるがまま、イトに腕を通し、指を通し、金具を止めた。金属製のひんやりとした感覚が腕を伝ったがそれも一瞬で、すぐに体温になじみ、何度か腕を動かすと、腕になじんだ。
確かに違和感があったが、シュラが想像していたよりも装着感は浅く、すぐに慣れることができた。
「結構、つければそれはそれだな」シュラは曖昧にそういった。
「いいか、イトは着けた瞬間から駆動する。人間の血流を感知し、電源が入る仕組みらしい。動力も、心臓のポンプ活動で事足りるらしいが、仕組みはさっぱり理解できない。言いたいことは、いまクグツを動かそうと思えば、すぐに動いてしまうということだ」エルが、矢継ぎ早に説明した。そして、同時にトランクからNo.9を取出し、地面に寝かせた。
「お前が起き上がるとき、まず手で体を支え、背筋と腹筋を使い、次に足に力を入れ、地面を押し上げ立ち上がるように、クグツにも同じように動くようにイメージしてみろ。そのイメージを脳から手に送り、イトを伝ってクグツが動くことを理解しろ。これができれば大前進だ」エルはそういうと、簡易テントをたたみ始めた。

言うのは簡単だ。そして言われたことを理解するのも簡単だ。だが、それは想像を絶する難易度だった。普段自分がどの筋肉を使って動いているのかが分かっていなければ、クグツを想いのまま動かすことはできない。増してやNo.9は腕が6本あるのだ。イメージしにくいことこの上ない。
結局テントがたたみ終わる頃に、ようやくクグツは手を地面について、腰を悪くした老人のように、四つん這いでプルプルと痙攣しているだけだった。

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